2012年12月20日
どうして公平な配分が難しいかといえば、議席は整数でしかありえないからだ。全国の有権者数を議席数で割ると、1議席あたりの平均有権者数は出る。選挙区の有権者数をこれで割れば、その選挙区の議席数が出るわけだが、これは必ず端数が出る。それを整数に丸めなければならない。
アメリカ合衆国では、各州に下院議員を何人割り当てるかが、1791年の第1回国勢調査以来、ずっと議論の的になってきた。端数をどういう方式で丸めれば公平なのか。議席数が1から2になったときや2から3になったときは、その州の議席あたりの有権者数は大幅に違ってしまう。一方、大きな州で、例えば30から31になる場合の影響度は少ないだろう。「一人一票(one-man,one-vote)」の実現に情熱を燃やす人々は、さまざまな議席配分方式を考え出した。だが、「それだと少人数の州が有利」「そっちの方法は大人数の州が有利」「その方式だと人口が増えたのに議席数が減るというパラドックスが起きる」などなど、侃々諤々の議論があって、とどのつまり出た結論は「完全な配分方式は存在しない」ということだった。
しかし、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください