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実験ノートの基本:日付と生データは必須、実験室外持ち出し禁止

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

 理化学研究所が4月1日に開いた記者会見で、STAP細胞論文の筆頭著者である小保方晴子氏の実験ノートのずさんさが明るみにでた。論文にあった写真の間違いが「悪意のある(意図的な)誤用」だったのか、「単なる勘違い」なのかが争いになっているが、より大きな問題は実験ノートにあると思う。生命科学研究者にとって、実験ノートは「命」であるはずだからだ。

 筆者は、米国の大学院で博士号を修得する過程で、実験そのもの以上に研究倫理や実験ノートの重要性を強調、指摘される教育を受けてきた。その後20年ほど米国で研究室を運営したときは「佐藤ラボマニュアル」なるものを作成し、研究室メンバー全員に配布・説明することで、若い学生や研究者を指導して来た。5年ほど前に日本の大学に着任した後も、「佐藤ラボマニュアル」を研究室メンバー全員に配布・説明し、研究活動を指導している。

 こうした経験から言わせていただくと、実験ノートがずさんな研究者や学生は日米問わず存在する。残念だがこれは事実である。筆者の日米でのこれまでの経験や観察によると、実験ノートをきちんと記録し管理できるか否かは、ある程度は指導できるが、ずさんな記録・管理しかできない人は、いくら指導しても中々きちんとできるようにはならない。

 実験ノートの記録や管理といっても、一般の方々には馴染みが薄いと思われる。そこで、「佐藤ラボマニュアル」の「実験ノートの記録・管理の仕方」というセクションを引き合いに、研究者にとって実験ノートとはどういうものかを紹介したい。それは中高生にとってのノートとはまったく性質の異なるものである。

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筆者

佐藤匠徳

佐藤匠徳(さとう・なるとく) 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)佐藤匠徳特別研究所 特別研究所長。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括・米国コーネル大学教授・豪州センテナリー研究所教授(兼任)。1985年筑波大学生物学類卒業後、1988年米国ジョージタウン大学神経生物学専攻にてPh.D.取得。ハーバード大学医学部助教授、テキサス大学サウスウエスタン医科大学教授、コーネル大学医学部Joseph C. Hinsey Professorを歴任後、2009年に帰国、2014年まで奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)バイオサイエンス研究科教授。2014年7月にNAIST退職後、2014年8月1日より現職。専門は、心血管系の分子生物学、ライブ予測制御学、組織再生工学。【2017年6月WEBRONZA退任】

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