2014年04月07日
理化学研究所が4月1日に開いた記者会見で、STAP細胞論文の筆頭著者である小保方晴子氏の実験ノートのずさんさが明るみにでた。論文にあった写真の間違いが「悪意のある(意図的な)誤用」だったのか、「単なる勘違い」なのかが争いになっているが、より大きな問題は実験ノートにあると思う。生命科学研究者にとって、実験ノートは「命」であるはずだからだ。
筆者は、米国の大学院で博士号を修得する過程で、実験そのもの以上に研究倫理や実験ノートの重要性を強調、指摘される教育を受けてきた。その後20年ほど米国で研究室を運営したときは「佐藤ラボマニュアル」なるものを作成し、研究室メンバー全員に配布・説明することで、若い学生や研究者を指導して来た。5年ほど前に日本の大学に着任した後も、「佐藤ラボマニュアル」を研究室メンバー全員に配布・説明し、研究活動を指導している。
こうした経験から言わせていただくと、実験ノートがずさんな研究者や学生は日米問わず存在する。残念だがこれは事実である。筆者の日米でのこれまでの経験や観察によると、実験ノートをきちんと記録し管理できるか否かは、ある程度は指導できるが、ずさんな記録・管理しかできない人は、いくら指導しても中々きちんとできるようにはならない。
実験ノートの記録や管理といっても、一般の方々には馴染みが薄いと思われる。そこで、「佐藤ラボマニュアル」の「実験ノートの記録・管理の仕方」というセクションを引き合いに、研究者にとって実験ノートとはどういうものかを紹介したい。それは中高生にとってのノートとはまったく性質の異なるものである。
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