日本の社会はがん治療の進化へ付いていかれるか
2018年10月02日
適応を満たせば効果に関係なくどの患者にも使用される可能性がある現医療制度や、抗悪性治療薬ががんを完治させるという間違った考え方の定着もこの問題を加速させている。この新たな副作用を防ぎ、夢の薬を適応ある患者に届けるためにも、改善策の議論が急がれる。
人々が健康になる、長生きするための医療にかかる費用が増大して、社会保障制度が破綻してしまい、その治療に最も適した患者が結局治療をうけられないというのでは本末転倒である。ただ、社会保障費を押さえることが目的で診療報酬を引き下げ、その結果患者数をこなさなければ病院経営が成り立たないようにし、流れ作業のように新しい薬が使われるようになるものも、これまた結果的に社会保障費を増大させてしまう悪策である。まず、新薬の良さと限界を患者を含めた社会全体が理解する必要がある。そのうえで患者、研究者、医師、企業、政府が垣根を取り払って一丸となり、根本である皆保険制度、社会保障制度、そしてがん治療を見直す機会を作る。日本発の「夢の薬」はそのような機会を与えてくれると信じている。
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