第一次大戦から現代のシリア内戦まで、戦争を多面的に見せる展示に圧倒された
2019年08月14日
川べりに立つひときわユニークな建物がIWM Northだ。外には戦車がぽつんと展示してあった。中に入ると、幼い子どもたちが係員から説明を聞いている場面に遭遇し、そうか、ここは親子連れで来るような、日本でいえば科学博物館のようなところなのだと認識する。
この博物館で展示しているのは1914年以降、つまり第一次大戦から現在に至るまでの戦争と紛争の「あらゆる側面」である。展示室の入り口には「戦争がどのように形作られ、人々の暮らしを変えるか、探って発見しよう」と大書してある。
基本的には時系列に沿って展示されているが、ユニークな切り口があちこちにある。例えば「スポーツと戦争」。「スポーツは、紛争の世紀の間ずっと、兵士たちにとってきわめて重要なものだった。スポーツは体を鍛え、団体精神を養い、競争心をもたらす。必要とされる度胸、持久力、結束力はいずれも戦争にも役立つものだ。そしてスポーツは兵士たちを戦争のストレスからいっとき解放する役割も果たした」といった説明である。第一次大戦のときは手作りの皮製サッカーボールが使われ、21世紀のアフガニスタン戦争ではプラスチックのフリスビーが使われたそうだ。
「科学、技術と戦争」というコーナーでは、「20世紀のもっとも重要な科学、医学、技術のイノベーションのいくつかは、戦争から生まれた」とあり、原爆は破滅的な結果をもたらしたが、医学の進歩はすべての人に恩恵をもたらした、と説明する。
「戦争の印象」というコーナーはとくに興味深かった。ポスターや雑誌などが展示され、プロパガンダについて説明されている。「プロパガンダ(虚実ないまぜの情報の組織的拡散)は戦争中においてきわめて重要である。政府は選んだ事実とウソを拡散させるために新聞、ラジオ、テレビ、映画、インターネットを使う。プロパガンダは、国民が喜んで戦いに参加するように、そして敵への憎しみを増すためにも使うことが可能だ。また、敵側に対しても使いうる」。1939年、イギリスは情報省を作り、ここがイギリス国民へのプロパガンダを担当した。ナチスドイツでは「国民啓発宣伝省」が置かれた。これらに関する資料が展示されているが、しかしプロパガンダの説明に「インターネット」という単語も入っていることに注目せずにはいられなかった。これは昔話ではなく、現在も続いていることなのだと来館者に伝えているのである。
「Never Ending War(終わらない戦争)」というタイトルで指摘しているのは、
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