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被爆75年:深まる日本の「核のジレンマ」

六ケ所「再処理工場」の余剰プルトニウムが拡散させる安全保障問題

鈴木達治郎 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)副センター長・教授

 「核の傘」に依存するということは、いざというときに戦争犯罪に問われることを覚悟することだ。米国でも最近、「広島・長崎への原爆投下は国際法違反であった」との論考(K. McKinney, S. Sagan, A. Weiner)が発表された。日本においても、「核の傘」がもたらす国際法上の問題はもっと議論されるべきだ。

プルトニウムと再処理問題

 2020年7月29日、青森県六ケ所村に建設中の日本初の大規模な再処理工場が、原子力規制委員会の安全審査に最終的に合格した。実はこの再処理工場が、日本の核のジレンマに深く関係していることはあまり知られていない。
再処理工場は、使用済み燃料に約1%含まれているプルトニウムを回収する施設であり、プルトニウムを燃料としてリサイクルする「核燃料サイクル」の要といわれる施設である。

拡大工事が進む使用済み核燃料再処理工場=2020年7月15日、青森県六ケ所村、伊東大治撮影
 しかし、核兵器の材料でもあるプルトニウムを回収できる施設であることから、国際安全保障上、ウラン濃縮施設と並んで最も機微な施設として注目されるものである。現在、非核保有国で再処理施設を所有しているのは日本だけであり、以前に所有していたドイツやベルギーと、海外に再処理を委託していた欧州の国々は、フランスを除きすべて再処理から撤退している(英国はまもなく撤退の予定)。一方で、日本が認められている再処理の権利を求めるという国(例えば韓国やイラン)が出てきており、再処理は国際政治上、極めて機微な外交課題なのである。
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筆者

鈴木達治郎

鈴木達治郎(すずき・たつじろう) 長崎大学 核兵器廃絶研究センター(RECNA)副センター長・教授

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)副センター長・教授。1951年生まれ。75年東京大学工学部原子力工学科卒。78年マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。工学博士(東京大学)。マサチューセッツ工科大エネルギー環境政策研究センター、同国際問題研究センター、電力中央研究所研究参事、東京大学公共政策大学院客員教授などを経て、2010年1月より2014年3月まで内閣府原子力委員会委員長代理を務め、2014年4月より現職。またパグウォッシュ会議評議員を2007~09年に続き、2014年4月より再び務めている。

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