山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員
スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
国家レベルの宇宙開発とウクライナ戦争
毎年何かと話題のある宇宙開発・太陽系探査だが、2022年は特に多かったように思う。これらのうち、個人的に印象の強かったニュースを2回に分けて簡単に回想したい。前編ではまず、国家レベルの大型プロジェクトについて述べたい。
9年前の嫦娥(じょうが、chang’e)3号着陸が口火を切った米中の月基地競争が、米国アルテミス1号の成功で本格化した。アポロ計画と異なり、アルテミス計画には日欧も本格的に参加し、人類を再び月面に立たせるだけでなく、月基地建設や火星有人探査に向けての技術実証という面も持つ。そして、このぐらいの「挑戦」となると、それを実現するための技術発展が、民生面の新規開発や制御・管理技術の向上を促して、結果的に生活を豊かに、かつ省エネにする。見た目には、金が掛かる「夢追い物語」だが、福祉・教育と同等の重要度を持つのだ。
一方の中国は、