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米政府、オバマケアで医療費不正請求の摘発を強化

内部告発した労働者や患者に報奨金

奥山 俊宏

 医療費の抑制が先進各国の課題となるなか、医療制度改革(オバマケア)を進める米政府が、公的医療保険への不正請求の取り締まりを国策として強めている。年4千億円超を医師や病院、業者から回収。内部告発を促す制度を整え、厚生省が捜査機関と共同で摘発チームを設け、国家に対する詐欺の罪人として医師らを刑務所に送り込み、他への見せしめにしている。

▽筆者: 奥山俊宏

▽この記事は2014年7月12日の朝日新聞に掲載された原稿に加筆したものです。

  

 今年5月13日、米政府の司法長官と厚生長官の連名で報道発表があった。

 「約260億円の不正請求で医師15人を含む90人を詐欺容疑で訴追した」

合同の一斉摘発を発表するホルダー司法長官とセベリウス厚生長官=2012年10月4日撮影、米司法省のウェブサイトから
 一昨年10月、昨年5月に続く大規模な一斉摘発で、合同取り締まりの「成功」をアピールした。

 検察や連邦捜査局(FBI)を所管する司法省と、高齢者向けの公的医療保険「メディケア」を所管する厚生省は2007年3月、合同で

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