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オリンパス内部通報制度 「通報者の名前を開示」で二転三転

奥山 俊宏

 社内の不正を社員に内部通報してもらうヘルプライン制度が機能せず、1千億円を超える巨額の粉飾決算が社外への内部告発で発覚した精密機器メーカーのオリンパスが、内部通報制度を利用して通報した人の氏名を社内で「開示」できる仕組みを事件後に設けたものの、今年4月に撤廃していたことが関係者の話でわかった。会社は「制度悪用を防ぐために例外を定めた」と説明していたが、社員からは「氏名を開示される恐れがあり、不安で通報できない」「問題と対策が逆行している」との声が出ていた。

オリンパス本社が入る東京・西新宿のビル
 同社は2005年11月、法令違反や企業倫理上の疑問について、社員が内密に会社のコンプライアンス室に通報できる「コンプライアンスヘルプライン」を設けた。その運用規程には「コンプライアンス室の担当者は、通報者本人の承諾を得た場合を除き、通報者の氏名を他に開示してはならない」と明記した。

 ところが、2012年5月、同社の新経営陣はこの運用規程を改め、「通報が悪意に基づくものであることが判明した場合」には通報者の氏名などの情報について「必要な範囲において開示できる」との但し書きを新設した。2013年3月の再改定では、「風通しの良い職場環境を醸成し、不祥事の芽を早期に発見してその是正をし、健全な企業活動を維持していく」という制度の目的を挙げて、「通報が目的の主旨に沿った内容でないと判断した場合」には「必要最小限の範囲において通報者の氏名を開

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