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実ったフルーレへの強化予算の集中投下

稲垣康介

稲垣康介 稲垣康介(朝日新聞編集委員)

 オリンピックとは、アスリートたちが4年に一度、それまでの努力を披露する晴れの舞台である。各競技団体にとっては、今後の4年間を協会運営を占う「査定」の場だともいえる。

 フェンシングの男子フルーレ団体5日、太田雄貴を擁する日本チームが銀メダルを手にした。この競技での団体種目の五輪メダルは初めてだった。

 4年前の夏、北京五輪で太田が個人種目で銀メダルを取ったのが、日本フェンシング界では初の快挙だった。

 大会前、日本フェンシング協会の張西厚志専務理事は、「マイナーなイメージを脱却し、メジャー競技の仲間入りをするには、五輪でメダルを取るしかない」と公言しつづけた。強化費6000万円の大半を有望種目のフルーレに強化予算を集中的に投下し、つかんだメダルだった。

 北京後、ロンドン五輪を見据えて「選択と集中」から一転し、サーブル、エペの両種目の選手たちにもチャンスを与える強化策を打ち出した。各種目に外国から有能なコーチを招いた。「ロンドンでは5個のメダルを狙う」と、メディアにぶち上げた。協賛してくれる企業を地道に集め、70~80社から、

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