2015年09月01日
昨今、競技での男子シングルの技術の進化は凄まじい。4回転が1プログラムに2回、3回、種類もトウループだけでなくサルコウ、ルッツなどに挑戦する選手が出てきた現在、羽生結弦は、23歳という年齢が競技スケーターとしてトップに立ち続けられる限界だ、と考えたのかもしれない。
ここまで過酷な状況を作り上げたのは、他ならぬ羽生自身でもある。彼やハビエル・フェルナンデス(スペイン)ら、強力なジャンパーが有無を言わさずこの時代を作り上げてきた。
過酷な4回転競争に身体が耐えられる間は、先頭を切ってこの時代を引っ張っていくつもりだろう。でも、トップの座を若い世代に譲るべき刻が、前の世代よりも早く来てしまうことも、彼は承知の上だろう。
だがそこで、スケーターとしての自分の役割が終わる、とは思っていない。世界一のジャンパーである彼が、その座を早々に明け渡すのならば、次は人々を魅了するスケーターとして世界一になればいい、そう考えているのではないか。おそらく、この推測は間違っていないはずだ。
さらにその先、自分がプロスケーターとして耳目を集めることで、アイスショーを今よりもっとパフォーミングアートの、興行の、一ジャンルとして認知されるものに押し上げてやろうじゃないか――そこまで羽生結弦が考えていることを期待したいのだ。
やはりフィギュアスケートのファンとしては、悔しいのである。
たとえば高橋大輔
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