6倍ぼられ続けて、破産に追い込まれた例も 自衛しかない現実
2020年04月16日
「ブラックボックス」。固定資産税は関係者の中でそう称されることもあります。自治体の算出ミス一つで数倍に膨れあがることもあるのです。今回私が取材で入手した国の資料では、95%近くの自治体に何らかのミスがありました。コロナウイルスの影響で在宅を余儀なくされている日々ですが、今こそ納付通知をじっくり見てみませんか。あなたも「税金取られすぎ」の1人かも……早く気づくほど、全額返金が容易になります。
今から数年前、埼玉県新座市というところで起きた事件をご記憶の方はいるでしょうか。
それは、戸建て住宅に住んでいた自営業の夫妻が、25年以上にわたり固定資産税を6倍取られていたという事例でした。
夫妻は、滞納と延滞利息に苦しむ中で自宅を失い、それを買い取った業者が実態に気づいて発覚しました。課税した新座市側は、一部さかのぼって返金しました。ですが既に自宅は別人に売られ、夫妻はマイホームに戻れませんでした。
とられすぎた理由は、減額措置の適用漏れです。
この減額措置は都市計画税にも連動しています。200㎡以下で住宅用の土地だと都市計画税は3分の1、200㎡を越す部分も3分の2に減額されます。
標準的な固定資産税率は1.4%、都市計画税率は0.3%ですから、課税の計算根拠になる課税標準額に減額措置がなされないと、その分多く支払う状態になってしまいます。
今回の夫妻のケースは、こちらの減額措置も適用されませんでした。その結果、少なくとも200万円以上の「取られすぎ」に繫がりました。
市がこの問題を受けて調べたところ、2849件で過大な徴収があり、約7億6000万円にのぼったといいます。
では、これは新座市だけの問題なのでしょうか。
私が取材で入手した総務省の直近の資料には、全国の自治体の94.5%でなんらかの課税ミスがあったと記されていました(私のツイッターはこちら。フォローがこうした取材の励みになります!)。
その前の3年間も含めてほとんど傾向は変わっていません。
これは、どの自治体でも「取りすぎ」が起き続けていると捉えるべきでしょう。総務省は「納税者に対して評価の仕組みや評価額の算出過程について分かりやすく説明するよう努めること」と訴えています。
では、この「減額漏れ」は、どこをチェックすれば分かるのでしょうか。
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