藤原秀人
2011年08月29日
中国初の空母は来年8月1日の人民解放軍創設85周年記念日に正式に配備される、という情報が8月中旬に中国国内のニュースサイトで流された。
もともとは旧ソ連で建造され、中国で改修されたこの空母が初の試験航海に出たのは8月10日。14日に遼寧省大連の港に戻った。あと1年もあれば就役が可能になるのであろう。このニュースに接したときにそう思ったが、ことはそれほど容易でないようだ。
試験航行の後、関係者の慎重かつ冷静な発言が相次ぐのもそのためだろう。
たとえば、有名な理論家である張召忠少将は講演で、空母は来年就役するかとの質問に次のように答えた。「中国は初の空母を完成させたばかりである。空母がすぐに就役するという報道は正しくない。空母も戦闘機も試験段階から就役までに一定の時間が必要で、絶えず調整と改修をしなければならない。だから来年就役することはありえないだろう」
「メディアは浮かれて空母の報道をすべきでない」といさめるのは、中国軍事科学学会の羅源少将だ。「空母が誕生して100年がたつが、我々はやっと今持つことができた。それも元は舶来の半製品で、自主開発の国産品ではない」
列強の侵略を受けた中国人にとって、空母は強大な国力の象徴だ。1996年の台湾海峡危機の時、米国の空母が出動したのに手も足も出なかった記憶はまだ生々しい。国民とメディアが浮かれるのはやむを得ないのだろうが、実際に空母建造に関係した人々にとって、この先解決しなければならない問題は多い。高揚感に浸っている場合ではないのだ。
課題の一つは
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください