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国会は「国会事故調」報告書を活かせるか?

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 憲政史上初の試みである国会の民間人等を活用した独立調査機関である東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会(いわゆる「国会事故調」、委員長:黒川清)(注1)は、7月5日、最終報告書を衆参両院議長に提出した。これにより、事故調査の結果にどう対処するかは、国会にボールが投げられたことになる。

 朝日新聞の報道(7月6日付朝刊)によれば、黒川委員長は会見で、「報告書の提言を着実に実行することが国会議員、国民の使命」と発言したが、報告書の提出を受けた横路孝弘衆院議長は「精査し、政府に申し入れるべきものは申し入れる」と述べるにとどまったという。また、自民党の谷垣禎一総裁は、5日夜、公明党の山口那津男代表と会談し、報告書の内容を「国会の場で審議する」との認識で一致したという。

 だが、筆者の経験からすると、国会議員に政策提言などを出すと、その内容の良否にかかわらず、「これはいい。ぜひ活用したい!」などと言ってはくれるが、その成果が政策や法律として実現することは、残念ながら非常に少ない。要は社交辞令どまりなのだ。それは、国会議員や国会には、本当に多種多様な提言、意見、陳情などが来るので、議員からすればとてもすべてをまともに扱っていられないという現実があるからだ(注2)。

 また、拙記事「立法補佐機関から考える国会(http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012060500005.html)」にも書いたように、行政のサポートなしに、国会や国会議員が独自に政策や法律をつくることは非常に難しいという現実がある。さらに、今回の報告書の内容は、行政にとって厳しい指摘も多く、行政がそれを自ら積極的に取り入れ、活かしていく可能性は低い(注3)。

 このように考えていくと、国会事故調の成果が国会において果たして活かされるだろうか、という疑問がでてくる。

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