日本の基準値で未来を担う沖縄の子どもたちに安全な飲み水を供給できるのか
2020年03月03日
沖縄で暮らしていると米軍基地がもたらす諸問題とかかわりのない日は一日としてない。辺野古新基地建設に伴う諸問題はその代表で、政府の当初の目算が大狂いし、大浦湾には軟弱地盤があって埋め立て工事の工期・工費がとてつもないものになり、出来上がっても不同沈下で飛行場として使い物になりそうもないことなどが、連日、地元紙で報道されている。
PFASは、1940年代以降様々な分野で使われてきており、家庭内では、台所用品(フッ素樹脂製のこげつかない鍋)や防水処理のされたじゅうたん、衣類、家具、靴などがある。産業用にも様々な用途があり、現在、3500から5000種類のPFASが流通していると言われている。沖縄で飲料水を汚染するとして特に問題となっているのが米軍基地で使用される泡消火剤である。
PFASの中でよく知られているのがPFOSとPFOAで、その有害性のためにそれぞれ2009年、2019年に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」で製造・販売・使用が禁じられた。今は、他の有機フッ素化合物による代替が進んでいるが、問題は、これら有機フッ素化合物が安定な構造を持ち、環境中で分解されにくく、高い蓄積性を有することである。
PFOS、PFOAで汚染された嘉手納基地、普天間基地の土壌は、今後も長期にわたって汚染物質が残留し、この地域の地下水を汚染しつづけるからである。このためPFASは、「永遠に残る化学物質」(Forever Chemicals)と呼ばれており、除去、浄化などの対応が極めて困難な物質である。
加えて問題なのが、PFASへの暴露は、乳児低体重、免疫システムへのマイナス影響、がん、甲状腺ホルモンへの影響など、
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