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『安倍・菅政権 vs.検察庁』著者・村山治氏に聞くオンライン記者サロン参加者募集

奥山 俊宏

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 朝日新聞社の言論サイト「論座」の松下秀雄編集長と朝日新聞編集委員の奥山俊宏は今月21日夜、ジャーナリストの村山治さんを招いて、「検察と政治」をテーマに、インターネット上でオンライン記者サロンを開きます。ズームのウェビナー機能を用い、参加の皆様と質疑を交わす予定で、ご参加のお申し込みを募集しています。毎日新聞、朝日新聞、フリーランスで通算48年にわたって記者として活躍し、業界では「伝説の事件記者」として知る人ぞ知る存在の村山さんは最近、著書『安倍・菅政権 vs.検察庁 暗闘のクロニクル』を出版し、注目されています。検察と政治の機微な関係が文章以上によく伝わる質疑になるかもしれません。

 参加者募集のサイトはこちら:https://que.digital.asahi.com/question/11005101

拡大村山治さんの近著『安倍・菅政権 vs. 検察庁』の表紙
 2020年は検察と政治の関係が厳しく問われ、国民の関心事となった年でした。安倍晋三首相(当時)と菅義偉官房長官(現首相)ら「安倍・菅政権」官邸による2016年以来4年間の検察人事への介入が極まり、安倍・菅政権が、介入をより容易にする法案まで策定して国会を通そうとしたことに、国民世論の批判が大きく高まったからです。法案も人事も実質的に撤回され、ひとまず介入は押し戻される格好となりました。しかし、学術会議やNHK、裁判所など、検察幹部と同様に独立性と専門性への配慮が求められる機関の機微な人事について、政治家らの私的もしくは政治的な思惑を背景としているのではないかとうかがわれる不当な介入の状況を示す兆候が引き続き取り沙汰されており、この問題の今日性は失われていません。

 2016年に始まる検察人事への官邸の介入について、朝日新聞社のニュースサイト「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」は、ほぼリアルタイムで克明に報じてきました。検察と政治のあるべき関係、そして、検察のあり方について、多角的な観点から様々な意見を提示した原稿も出しています。そうしたユニークな報道を担ったのがジャーナリストの村山治さんです。

 検察官を含め中央省庁高級官僚にとって人事は最大の関心事であると言って過言ではありません。一方で、その決定の経緯や背景はことがらの性質上、秘密として扱われ、その内実は厚いベールに覆われています。真偽不明の噂は常に流れるものの、確たる事実は当事者にも部外者にもほとんど知られることがありません。人事の当否について公の場で正面から論じられることもほとんどありません。

 村山さんは、そのようなぶ厚いベールをかいくぐり、法務・検察首脳人事の秘密をその奥底から把握し、一連の記事において、官邸や法相ら政治家の関わりを赤裸々に明らかにしています。法務・検察当局や官邸の内部に情報源を張り巡らせた村山さんでなければ、あり得なかった報道です。AJで村山さんが報じなければ、このような経緯の詳細は世の中に知られることがなかったであろうと思われ、検察庁法改定をめぐる議論の行方にも影響を与えました。

 一連の報道は2016年11月以降、節目をとらえて現在まで継続してきています。そういう中で、2020年5月以降、「#検察庁法改正案に抗議します」とのハッシュタグを掲げるツイッターデモなど世論の盛り上がりで政府提出の検察庁法改定案が廃案に追い込まれました。一連の報道はその際の議論の前提となる事実関係を示すほぼ唯一の情報源であり、記事のリンクがツイートされ、多くの人によって参照されました。

 検察庁法改定案をめぐる騒動のあおりで、安倍内閣の支持率は急落し、以後、首相辞任表明まで回復することがありませんでした。したがって、検察首脳人事をめぐる一連の騒動は安倍政権終焉の一因になったと見ることができます。その観点からも、村山さんの一連の報道の意義は大きい、ということができます。

 検察はその職責上、安倍首相の政治団体の政治資金規正法違反容疑を捜査し、前首相となった安倍氏の秘書を起訴するなど、政治からの独立性を要請されています。一方で、政府の一機関として検察首脳の人事権は内閣に握られており、検察は内閣を通じて国民の民主的統制に服する仕組みとなっています。このように単純には一刀両断にできない、微妙な問題にまつわる事実関係を、その陰影を含めて的確かつ客観的に明らかにした、という点でも、村山さんの一連の報道は際だっています。一連の報道はその後、書籍『安倍・菅政権 vs. 検察庁』にとりまとめられ、書店でも手に取ることができます。

 菅政権発足後、学術会議会員人事への政権の介入が大きな問題となっています。これは、法務・検察人事への政権の介入と同根の問題です。このような安倍・菅政権の本性の一端をえぐったという点でも、村山さんによる以下の一連の報道は先駆的だったということができます。

 2016年11月22日
 官邸の注文で覆った法務事務次官人事 検察独立の「結界」は破れたか
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2716111900001.html

 2017年9月17日
 法務・検察人事に再び「介入」した官邸 高まる緊張
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2717091200002.html

 2018年1月18日
 上川法相が林刑事局長の次官昇格を拒否か、検事総長人事は?
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2718011200001.html

 2019年1月24日
 「次の検事総長は黒川氏」で決まりなのか、検察の論理は
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2719012400001.html

 2020年1月31日
 稲田検事総長が退官拒絶、後任含みで黒川氏に異例の定年延長
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2720013100001.html

 2020年3月30日
 黒川検事長の定年延長を事前に承認した稲田検事総長の説明責任は?
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2720032800001.html

 2020年12月21日
 検察人事への政治介入をはね返した護送船団時代と受け入れたこの4年の違い
 「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」10周年記念ウェビナー①
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2720121600001.html

 2020年12月25日
 官邸の意向に沿う私的な政治捜査と本当の「国策捜査」、検察幹部の「起訴基準」
 「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」10周年記念ウェビナー②
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2720122200001.html

 2020年12月29日
 ロッキード事件、バブル経済事件、福島原発事故と検察
 「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」10周年記念ウェビナー③
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2720122700001.html

 2021年1月2日
 検察に対する民主的統制どうする? 情報開示が足りない最近の検察
 「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」10周年記念ウェビナー④
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2720123000001.html

 法と経済のジャーナル(AJ)は朝日新聞社のインターネット新聞(ニュースサイト)として2010年7月21日に原稿の発信を始め、今年(2021年)6月1日、朝日新聞社の言論サイト「論座」の下に引っ越ししました。そこでこのほど、AJの創刊11周年と論座への合流を記念して、オンライン記者サロンを開催することにしました。その第1回となるのがこの7月21日夜の本イベントで、購読者に限らず、関心のある人はだれでも参加できます。

 参加者募集のサイトはこちら:https://que.digital.asahi.com/question/11005101

 ▽注:7月21日の本イベントでは、検察と政治の関係に関連する以下の記事についても触れる予定です。

 2010年7月21日
 検察、憲法の大臣不訴追特典を意識 昨年暮れの鳩山氏の取り調べ見送りで
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2710071900009.html

 鳩山前首相本人の量的制限違反容疑と相続税法違反容疑 憲法の不訴追特典が外れた今こそ検察は捜査でけじめを
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2710071900003.html

 【シリーズ】前首相・鳩山由紀夫の「政治とカネ」
 https://webronza.asahi.com/search/index.html?stype=article&word=%E3%80%90%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%91%E5%89%8D%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%83%BB%E9%B3%A9%E5%B1%B1%E7%94%B1%E7%B4%80%E5%A4%AB%E3%81%AE%E3%80%8C%E6%94%BF%E6%B2%BB%E3%81%A8%E3%82%AB%E3%83%8D%E3%80%8D&order=asc&from=&to=

 2010年10月11日
 小沢一郎議員 記事一覧
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2710101000002.html

 2011年6月16日
 水谷建設証言が暴いた公共事業利権
 情報開示義務違反型捜査の威力とリスク
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2711060800009.html

 2010年8月30日
 総理大臣の訴追はできるか? 小沢氏の代表選出馬で憲法論議
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2710083000001.html

 2010年8月21日
 政治資金不正に有権者代表訴訟の制度導入を 検察頼みだけでない国民参加を
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2710082000013.html

 2019年6月24日
 東芝粉飾決算の一部時効、検察は監視委の告発を制約していいのか
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2719062300001.html

 2018年6月4日
 検察は財務省背任容疑にどう迫ったか、なぜ不起訴にしたか
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2718060400001.html

 2020年6月10日
 稲田検事総長と辻法務事務次官に元特捜部長が再び辞職勧告 政治と検察で対応に誤り
 検事長定年延長・検察庁法改正の迷走劇を元東京地検特捜部長が斬る
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2720060700001.html

 2020年12月31日
 「桜を見る会」事件で首相の犯罪嫌疑を捜査した検察に続く正念場
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2720122800001.html

 2021年3月12日
 安倍前首相秘書に公民権停止3年、略式命令の書面開示
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2721031200003.html

 2021年2月6日
 1年で国会議員4人を起訴した検察 逮捕・受託にこだわらず自然体で
 https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2721020500001.html

 ▽注:7月21日の本イベントでは、一定の独立性と専門性を必要とされる機関の人事と政治との関係に関連する以下の原稿にも触れる予定です。

 2020年10月16日
 菅首相就任1カ月 学術会議の任命拒否で露呈した「総論なき各論政権」の限界
 https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020101600004.html

 2019年3月3日
 中島岳志の「自民党を読む」(7)菅義偉
 https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019030100002.html

 2020年10月8日
 政治による人事介入の危うさ
 https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020100600003.html

 2021年3月19日
 いまNHKで起きていること~Nスぺ収録2日前の見送り、看板キャスター交代
 https://webronza.asahi.com/national/articles/2021031900001.html

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筆者

奥山 俊宏

奥山 俊宏(おくやま・としひろ) 

 朝日新聞編集委員。
 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。近刊の共著書に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に 『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
 ツイッターはhttps://twitter.com/okuyamatoshi
 ご連絡は okuyama-t@protonmail.comに。メールの内容を暗号化する場合はPGPで。パブリックキーのIDは7D2BAD43550EAD96

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