芸術 の検索結果

［書評］『イタリアの鼻』

ベルント・レック、アンドレアス・テンネスマン著

痛快無比の伝記、ここにあり　　 　タイトルにあるとおり、なるほど表紙に描かれた肖像では、やたら鼻が目につく。いろいろな意味で強そうな男だ。何 … ［続きを読む］

２０１８年、日本国憲法と戦後の現在地

社会運動を支えたふたつアジェンダが問われる時代。継承か終焉かの分岐点に立つ憲法

“時代の塗り替え”と正統性の動揺　2018年になった。この2018年には「明治維新150年」と最後のフルバージョンの … ［続きを読む］

映画『女の一生』、ステファヌ・ブリゼ監督に聞く

「この作品は、ある幻想と、幻想の終わりを描いています」

　光溢れるノルマンディー。公爵家の娘ジャンヌの眼前には、輝く人生が広がるように見える。だが、「一生、愛する」と誓った夫は不貞に走り、愛する息 … ［続きを読む］

［２０１７年　映画ベスト５＋アルファ、その他］

映画それ自体として訴求力をもつ作品

ベスト５『散歩する侵略者』(黒沢清)　宇宙生命体/侵略者によって肉体を乗っ取られ、概念/通念を奪われる人間たちの奇妙な言動をメインに描くSF … ［続きを読む］

前日本バレエ協会会長の重鎮、薄井憲二氏が逝く

元バレエダンサー、舞踊評論家として、正しいバレエを伝えるため尽力

　93歳というお歳でありながら、こんなにも多くの人に惜しまれながら亡くなる方は本当に珍しいのではないだろうか?　私自身、もっとお話をおうかが … ［続きを読む］

『陸王』、こんなにわかりやすすぎていいのか！

「人間は素晴らしいんだー！」というメッセージが…

  今まで私が見た朝ドラでいちばん熱中したのは『鮎のうた』だ。朝ドラ史の中ではあんまりメジャーに語られることもないし、タイトル聞い … ［続きを読む］

肥大化する部活動、問題の多角的研究へ学会を設立

研究と実践の往還を重視、研究者・実践者の相互研鑽を図る場に

　部活動が話題になっている。生徒の強制入部の問題や顧問教員の過重負担の問題が昨年（2016年）からメディアで多数取り上げられるようになった。 … ［続きを読む］

［２０１７年　展覧会ベスト５］ ６８年の熱気

当時の「資料」から浮かび上がる魂の叫び

1　「1968年――無数の問いの噴出の時代」展(国立歴史民俗博物館)2　「アルチンボルド展」(国立西洋美術館)3　「運慶」展(東京国立博物館 … ［続きを読む］

［62］聖なる女性詩人ステラの豪快なゲップ

11月28日(火)　午前10時から局で「報道特集」の定例会議。急遽、広島に行くことに。核廃絶のための「賢人会議」の取材だ。14時45分発のJ … ［続きを読む］

座間の事件で振り返る「若い頃の自殺願望」

「自殺してはいけない」という納得できる明確な理由に行き着くまでには……

　座間市で若い女性8人と男性1人の遺体が見つかった事件には衝撃を受けた方が多いだろう。私も、このニュースに触れて、大きな衝撃を受けた。　とい … ［続きを読む］

［書評］『劇団態変の世界』

劇団態変編著

優生思想を殲滅・無化する「からだ」の表現を追う　　　「劇団態変」は、3歳で「ポリオ」(=「急性灰白髄炎」、または「脊髄性小児麻痺」)を患い、 … ［続きを読む］

是枝裕和監督に聞く東京国際映画祭への提言

映画という文化に貢献するための「哲学」はあるのか

  第30回の節目を迎えた東京国際映画祭(2017年10月25日から11月3日まで)が、六本木を主要会場に開催された。公式サイトで … ［続きを読む］

英政界のセクハラ疑惑、米国での疑惑が飛び火　

メイ英首相は政党から独立した苦情処理体制を構築する方針だ

調査対象となった国会議員は十数人に　今秋、英政界では、政治家あるいは政界関係者による性的嫌がらせ(セクハラ)及び性犯罪(レイプ)疑惑が次々と … ［続きを読む］

［3］図書館、出版社、書店の協力が破局を避ける

　出版業界と図書館が、お互いを不可欠なものとして必要としていながら利害は相反している、このアポリア(難問)は、少し前から具体的に構想され始め … ［続きを読む］

出版社は図書館向け高額本と文庫本の２種類を作れ

単行本を文庫化した本は、図書館は買わなくていい

　文藝春秋の松井清人社長が10月13日に「全国図書館大会　東京大会」の「公共図書館の役割と蔵書、出版文化維持のために」をテーマにした報告会で … ［続きを読む］

必見！　北野武『アウトレイジ　最終章』

過激で繊細な暴力団映画

　バイオレンス映画、『その男、凶暴につき』(1989)で衝撃的な監督デビューを果たした北野武は、1990年代には『3-4×10月 … ［続きを読む］

３０回を迎えた東京国際映画祭、どこがダメなのか

外向けの顔と国内向けの顔の日本的な二重構造

　1985年に始まった東京国際映画祭は今年2017年で30回目を迎えた。最初は隔年なので33年目でもある。この記念の年に、果たして今年はどう … ［続きを読む］

［56］これが日本だ　わたしの国だ

10月17日(火)　午前中、渋谷で仕事の綿密な打ち合わせ。13時から日本映画『恋とボルバキア』(小野さやか監督)をみる。ひたむきさと公共性は … ［続きを読む］

パリで話題の「シック・ボヘミアン」の愛の結晶

イヴ・サンローランを支えたピエール・ベルジュが心血を注いだ「美術館」が開館

サンローランのエスプリがぎっしり　美術の秋、芸術の秋とあって、フランス各地で様々な展覧会が開催中だが、「シック・ボヘミアン」と呼ばれるパリジ … ［続きを読む］

［3］ＳＦの逆説的効用、画面造形の巧みさなど

　今回は、これまでに触れられなかった『散歩する侵略者』の注目点を、断章形式でコメントしたい。国家システムの恐るべき正体*日本政府は、起こりつ … ［続きを読む］

［22］再び「子殺し」「親殺し」考『晩春』15

「親殺し」の意志の初めての、意識的発動

　原節子が、佐竹熊太郎との見合いに応じることに「ええ」と答えてくれたことで、すっかり安心した叔母の杉村春子は、2階から降りてくると、待ってい … ［続きを読む］

［54］没後３０年、澁澤龍彦展がすばらしい

「耳の痛いことを言ってくれる友人」の声を聞くこと10月3日(火)　午前中、局で定例会議。選挙については「共謀罪」法をひとつの焦点にして選挙区 … ［続きを読む］

［2］長谷川博己、松田龍平の好演など

　『散歩する侵略者』で鳴海の夫・真治に扮する松田龍平が、ハマリ役であることについては多言を要すまい。終始、何を考えているのかわからないボンヤ … ［続きを読む］

中国「芸術産業」国家戦略を現代アート好き弁護士が見る

中国と日本を往復する現代アート好き弁護士が垣間見た中国の「芸術産業」国家戦略 アンダーソン・毛利・友常法律事務所若林 耕１．中国は … ［続きを読む］

最新技術の導入こそ、城の建て替えの「伝統」

旧来の材料、手法で再現を目ざす熊本城と名古屋城の建築費は割高が必至

　先日、ある建設関係者から、日本の「お城の天守閣」の多くが建て替え時期にある、と聞かされた。　なるほど、国宝として何百年も残ってきたいくつか … ［続きを読む］

フェイクニュースへの法規制は劇薬か

根絶されるべき問題だが、立法議論の先行は現実的ではない

1.「フェイクニュース」概念の整理　フェイクニュースが問題視されている。「フェイクニュース」の確立した定義は存在しないが、ひとまずは、SNS … ［続きを読む］

ドイツ総選挙―極右政党が躍進し第3党に（上）

ドイツ連邦議会選挙の結果はドイツ戦後史の曲がり角を示している

ドイツ政治史に見られなかった地殻変動　ドイツの民主主義体制が、第2次世界大戦後最大の試練に直面している。右派ポピュリズムの波は、英国や米国に … ［続きを読む］

［書評］『風から水へ』

鈴木宏著

出版の裏表を全部語る　　　これは「出版人に聞く」と題して、小田光雄がインタビューしたシリーズの特別版である。何が特別版かというと、とにかく微 … ［続きを読む］

アメリカの話題作、ＶＲ…ベネチア映画祭の冒険

カンヌ一極集中に対する老舗映画祭の新しい方向

　1932年に始まった世界最古の映画祭であるベネチア国際映画祭は、今年は大胆な賭けに出たように見える。再任後、今年で6年目となるディレクター … ［続きを読む］

ルール改正で大技重視の男子シングルは変わるのか

加速した「４回転バトル」が緩和される可能性

　いよいよ世界各国でフィギュアスケートの国際大会が開催されはじめ、五輪シーズンのGP(グランプリ)シリーズ開幕もあと1カ月ほどとなった。　そ … ［続きを読む］