物語 の検索結果

『ちえりとチェリー』中村誠監督に聞く（下）

「人形アニメーションならではの存在感と生々しさ」

長編の人形アニメーションを作る意義――そもそも人形アニメーションの長編映画は日本では余り作られたことがありません。海外の作品も大ヒットの前例 … ［続きを読む］

必見！　トッド・ヘインズ『キャロル』（下）

50年代アメリカのダークサイドなど

「ユートピア」の裏面　今回は、『キャロル』の舞台となった、1950年代アメリカの――とりわけその郊外の――ライフスタイル、政治的背景について … ［続きを読む］

必見！　トッド・ヘインズ『キャロル』（中）

ロード・ムービー形式、古典性と現代性の共存、超絶な画面造形など

　中盤で、２人がアメリカ西部を巡る自動車旅行に出発する『キャロル』は、よってそれ以降、恋愛映画+ロード・ムービーという形をとる(キャロルの運 … ［続きを読む］

必見！　トッド・ヘインズ『キャロル』（上）

心揺さぶる“女性映画”の超傑作

　『キャロル』は、2人の女性同士のファタル/運命的な恋愛を、精妙かつ情感豊かに描いた絶品だ。何より、1950年代初頭のアメリカという時代設定 … ［続きを読む］

［6］山中貞雄の無念の思いを晴らすために

「内なる戦争」に決着をつけないまま　佐藤忠男監修の『永遠のマドンナ　原節子のすべて』(出版協同社、1986年)に掲載されている「原節子主演全 … ［続きを読む］

普通の出来の「あさが来た」、最高視聴率の理由

専業、兼業両方の主婦をうっとりさせた夢と、夢のような死と

　「あさが来た」の平均視聴率が今世紀最高で、「あまロス」の次は「あさロス」とも言われているそうだ。　私個人としては、最初は「あまちゃん」「カ … ［続きを読む］

［6］殺人者に「殺人」という死刑の応答でいいか

前近代で死刑制度が長期間行われなかった日本は世界でも稀有な存在だった

　なぜ、日本では、世界の趨勢に逆行して、死刑存続の方向、厳罰化の方向へと世論が動いてきているのだろうか？  すでに記したとおり、お … ［続きを読む］

『いつ恋』から考える「切実系」ドラマの役割

１クールに１本はあっていい

　2016年1月からのクールのドラマの傾向を自分なりにくくるとしたら、切実で暗いものが多かったという印象である。　もちろん、コメディや推理も … ［続きを読む］

［書評］『絶筆』

野坂昭如著

最後のメッセージにこめられた願い　　　冒頭に置かれた編集部の注記によると、野坂昭如は2003年5月26日、72歳のときに脳梗塞で倒れたあと、 … ［続きを読む］

［書評］『震災編集者』

土方正志著

混迷する出版界にとって根源的で貴重な提言　　　「震災編集者」は、「災害編集者」でもあった。本書の著者・土方正志は、雲仙普賢岳噴火、奥尻沖津波 … ［続きを読む］

若者に魅力ある新聞ジャーナリズムへ

社会の複雑さをどう引き受けるかが課題

　「自分の書いた記事が読者に届いていない」。多くの新聞記者がこう嘆く。この言葉は、かつては読者からの反応が乏しい、共感が得られないという意味 … ［続きを読む］

ベルリン映画祭リポート（上）　“社会派”

シナリオ通り？　出来過ぎなほど成功したアピール

　カンヌ、ベネチアと並び、三大映画祭のひとつに数えられるベルリン映画祭。第66回を迎えた今年は、2月11日から21日まで11日間にわたり開催 … ［続きを読む］

『１９４５　予定された敗戦』を読む（上）　　

白井聡『永続敗戦論』に続く、戦争の「終わり方」

　白井聡の『永続敗戦論』(太田出版、2013年)は、刊行3年後の現在、19刷、累計7万7000部で、今なお売れ続けている。人文社会書としては … ［続きを読む］

日本のメディアを変える？　「世界の窓」ＦＴ

日経や日本の他の新聞メディアのグローバル化は進むか

　日本経済新聞社が、英フィナンシャル・タイムズ(FT)を発行するFTグループを買収してから、3カ月余りとなった。買収金額は8億4400万ポン … ［続きを読む］

必見！　濱口竜介『ハッピーアワー』（下）

リアルさとは“嘘臭くなさ”である

　物語や主題の切実さ/リアルさに見合って、『ハッピーアワー』の登場人物、とりわけ4人の女性演者らの演技は、ほとんど演技臭を感じさせず、しばし … ［続きを読む］

必見！　濱口竜介『ハッピーアワー』（中）

市民参加のワークショップを出発点とした試行錯誤

　前回述べたように、『ハッピーアワー』の放つリアルさは、これまで誰も体験したことのないようなものだ。　たとえば、看護師・あかり/田中幸恵の発 … ［続きを読む］

必見！　濱口竜介『ハッピーアワー』（上）

あっという間の５時間17分

4人の女性の人生模様　ケーブルカーがトンネルを抜けて六甲山を登って行く。　遠景に神戸の街が見えてくる。　何かを喋っている、ケーブルカーの座席 … ［続きを読む］

［5］中国兵と戦った小津安二郎の心の傷

　小津安二郎と原節子自身の意図や思惑をはるかに超えたレベルで成し遂げられた激越、かつ根源的な「号泣」の演技、そしてそのことによって獲得された … ［続きを読む］

［書評］『大変を生きる』

小山鉄郎著

「大変」に直面する精神をリレーする　　　悲惨で強烈な体験をしたときほど、人はその体験をなかなか言葉にできない。当然だろう。　死に瀕したり、実 … ［続きを読む］

「不屈の男」、ルイ・ザンペリーニ氏の思い出

「もう全てを赦していることを伝えたい」

『不屈の男 アンブロークン』の上映と日本語版刊行に寄せて　一昨年(2014年)暮れから昨年(2015年)初めにかけ、アメリカや他の国々で上映 … ［続きを読む］

ノルウェーのプリンシパル西野麻衣子の異色（下）

「良いスタイルをもっている」という評価、留学費用の工面に両親は自宅を売って

　身長172センチと日本人女性としてはかなり長身の彼女、長い手脚を使った、ある時はパワフル、ある時は情感豊かな表現は、どこか日本人ばなれして … ［続きを読む］

［28］パレスチナ難民６０年を歩く

第1世代から第4世代まで　パレスチナ問題は1948年の第1次中東戦争によってイスラエルが独立し、それに伴って70万人のパレスチナ難民が出たこ … ［続きを読む］

［4］戦死した全ての兵士のために号泣した原節子

号泣のシーンに隠されていた新たな真実 　なぜ、原節子は『東京物語』のクライマックスで、笠智衆から妻の形見だとして時計を渡され、存在を揺るがせ … ［続きを読む］

［書評］『イエス伝』

若松英輔著

魂の目で読め　　　若松英輔は10代の末に批評家・越知保夫の書くものに出会った。　越知保夫は、小林秀雄や能をめぐる古典論を書きながら、ついに1 … ［続きを読む］

［1］科学者討論＠北海道大学

科学者は「監」られている――若手研究者が語る大学の現在

　大学の風景が変わった。研究者は世の中に還元される業績を求められ、役に立つことがわかりやすく見える成果が歓迎されている。研究費の獲得競争は激 … ［続きを読む］

［書評］『誰がネロとパトラッシュを殺すのか』

アン・ヴァン・ディーンデレン、ディディエ・ヴォルカールト編著　塩﨑香織訳

欧州のオタクが追跡したアニメの虚構と現実が面白い　　　日本人は名作物語が大好きだ。　「イソップ物語」は、「伊曾保物語」として江戸初期から翻案 … ［続きを読む］

舘野仁美さんに聞くスタジオジブリの現場（上）

「本を出すことで、少しでも動画の地位が認められて欲しい」

　2015年11月21日、スタジオジブリで27年に亘って動画チェック(※註)を務めて来た舘野仁美さんが半生を綴った回顧録『エンピツ戦記　誰も … ［続きを読む］

［6］サン・ラザロの日とキューバ人の信仰

　何年前になるだろうか。サン・ラザロの教会に這って向かう人の姿を写した写真を見たのは。　「キューバでこんなことを？」 　「五体投地」にも似た … ［続きを読む］

必見！　ベルトルッチ『暗殺の森』（上）

症例としてのファシスト

ファシズムの病理　イタリアのファシズムをモチーフにした『暗殺の森』を、昨年（2015年）11月、久しぶりに東京・新宿武蔵野館のスクリーンで再 … ［続きを読む］

［書評］『五色の虹』

三浦英之著

加害の歴史を負わされて生きる不条理　　　場所はカザフスタン・アルマトイ国際空港。車いすで到着した小柄な日本人男性を、大きな体のロシア人が抱き … ［続きを読む］